2012年10月、大分県が特許庁に「おんせん県」という名称の商標登録を申請しました。
(情報提供:観光経済新聞社)
これに対し、「うちのほうが日本一の温泉県だ」みたいな反応をしたのが、群馬県の大澤正明知事でした。
確かに群馬県には、伊香保や草津などの温泉があります、というか、それしか取り柄がない、とも言えますから、無理のない話だと思えます。
ところがこの反応に、当の大分県は、
「どうぞ、自由にお使いください」
と、大人の対応を見せたそうです。
ひとまず「よかったね」という話ですが、私としては、
「群馬県も、見くびられたなあ」
という印象でした。
そもそも、自治体を「特別化」することを仕事にしている私から見て、
「温泉日本一」
というPR自体に、意味がないと思います。
その理由の一つ目として、温泉なんてどこの県にもあること。
ドリフの「いい湯だな」に歌われてるだけでも、北海道の登別、群馬の草津、和歌山の白浜、大分の別府。
他にも、栃木の鬼怒川、山梨の石和、神奈川の箱根、静岡の熱海、岐阜の下呂、愛媛の道後、鹿児島の指宿……
などなど、こんなにたくさんの
「似たようなところ」
があるのです。
そんな中で、「うちが日本一だ!」と差別化を図ること自体が、いわゆる「レッドオーシャン」です。
二つ目の理由として、そもそもいまどき「温泉」なんて、誰が行くの? という、身も蓋もない話です。
「レジャーといえば温泉だよね!」
なんて人は、それこそ
「歌はやっぱり演歌だよ!」
と言う人と、ほぼ同じくらいの人口ではないかと、私は思います。
なにしろ今では、ちょっと車で郊外に行けば、1000円やそこらで温泉気分が味わえる「スーパー銭湯」というのが、たくさんあるのですから。
わざわざ遠いところまで行って、早い時間から風呂に入って酒飲んで、早く寝すぎて夜中に目が覚めて時間をもてあまし、疲れて帰ってくる。
こんなレジャーに、行きたがる人はいまどき「珍しい」と言えるでしょう。
ハッキリ言えば、熟年世代から上だけですよね。
どんどん「温泉」というパイは縮小していくのに、いつまでもそこにしがみついていては、いくら日本一と言っても、先は見えています。
だったら、私ならどうするか?
簡単ですね。
今回のような、大分と群馬の日本一争いを、
「全国バトル」
に仕掛けて、日本中に温泉ブームを起こすのです。
そうすれば、温泉が多くの人から注目され、レジャーに行く人の総数が増えるでしょう。
そうしたうえで、その中で「日本一」を狙って見事に優勝すれば、一気に観光客は激増します。
Facebookなどを上手に使えば、簡単に仕掛けられるでしょうね!