なかなか面白く書かれた記事ですが、
タバコを「嗜好品」だと思ってる時点で失格ですね。
【嫌煙家が主張する「タバコ1箱700円」を阻む“霞ヶ関の論理”とは】
たばこが値上がりをする。
え? 3年前に上がったばかりじゃないの、なんて印象があるが、消費税が上がったら税率アップ分の3%が自販機などでは一律転嫁できない。というわけで、銘柄によって最大20円値上げしたり、据え置きしたりということで全体の売上高でみたら3%アップになるようにするんだとか。
まだ具体的にどの銘柄がどれくらい上がるなんて話は出てないが、例えば元マイセンこと「メビウス」が20円アップしたら430円。「セブンスター」が値上げした場合は460円になってしまう。食後の一服どころか、食後にもう1回、定食を買ったような出費である。
映画『風立ちぬ』の喫煙シーンにクレームを入れた禁煙学会などの嫌煙家のみなさんからは、「ぬるい! 1箱700円でいい」なんて声が聞こえてきそうだが、愛煙家からしたら、「なんでオレたちだけがこんなにいじめられるの」というのが本音だろう。
官僚の中の官僚
確かに、気の毒な部分も多い。1996年のマイセンは1箱220円。それから消費税アップ、翌年の「たばこ特別税」施行を経て、2003年、2006年、2010年と3度にわたる値上げを繰り返し、今や約2倍。ここまでドカンと値上がりをした「嗜好品」というのもちょっとない。
いや、それはたばこというのは本人だけではなく、周囲にも健康被害をまきちらすものであって、日本も批准している「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」に基づいて、ギリギリと締めつけて、市場を縮小させなくちゃいけないウンタラカンタラ……。というのが、嫌煙家のみなさんたちが、宮崎駿監督にも叩き付けたロジックだ。しかし、これには大きな矛盾がある。こういう国内法がちゃんとあるからだ。
「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資すること」(たばこ事業法第1条)
財務省の「平成25年度政策評価実施計画」のなかにもちゃんと「たばこ・塩事業の健全な発展の促進と適切な運営の確保」とある。具体的には、たばこ葉農家、販売店のみなさんが潰れないようちゃんと配慮しながら、しっかりと税金もとれるようにJTの尻を叩く。いまだにJTの大株主なのも、たばこビジネス推進が財務省の政策だからだ。
つまり、嫌煙家のみなさんがスタジオジブリに抗議文を送ろうが、愛煙家を社会のゴミ扱いしようが、「官僚の中の官僚」がしっかりとガードをしているという構図である。だから、禁煙推進派の人々が厚労省をつきあげて訴えている「1箱700円」は、かなりハードルが高い。“霞ヶ関の論理”で言えば、財務省が厚労省に従うわけがない。
“ねじれ”にメスを入れた
国民に病をまきちらすテロリストかと思ったら、実はバックに政府がいた、という「24 Twenty-four」とかでよくあった構図だが、当然この“ねじれ”にメスを入れようとした政治家もいた。
例えば、菅直人さんなんかもそうだ。
今でこそ身内の民主党からも疎(うと)まれるような“戦犯”扱いだが、社民連やさきがけの時代は、市民活動家出身の政治家らしく、カイワレを食べるなど大活躍だった。そんな菅さんが目をつけたのが、「たばこ」だった。JTや関連団体には大蔵官僚の主流、主計局OBやらが天下って幅をきかせていた。
その力の源は、大蔵省がたばこを牛耳る法的根拠である「たばこ事業法」にある。といわけで、まだ活動家気質が抜けきれず、「イラ菅」なんて呼ばれていた時代、大蔵省に乗り込んで、この悪法を改正せよと怒鳴り込んだこともある、と当時一緒に乗り込んだ禁煙活動家が教えてくれた。
それから時は流れ、菅さんが財務大臣の座についた。野党時代に掲げていたのは、確か主計局の力を奪うこと。その第一歩として、「たばこ事業法」に手をつける。昔の活動家仲間はそう思った。
しかし、彼は意外な行動にでる。なんと、昔の仲間との関係をぷつんと断つのだ。財務大臣に就任してほどなく、先ほどの「禁煙活動家」に取材をしたことがある。「菅直人」の名を出した途端、彼の顔は怒りで歪んだ。
「電話をかけても取り次がれない。事務所にファックスを送っても返事がない。大臣になって財務官僚に籠絡(ろうらく)されてしまったのでしょう。もう信用できませんよ」
官僚というのは意地が悪い
権力というのは人間を変えてしまう。ここまでならばよくある話だが、さらに驚くことが起きる。日本は破たん寸前だからまずは消費税を上げるべき、なんてまるで財務官僚の受け売りのようなことを言い始めたのである。総理になってからはさらに拍車がかかり、周囲が「選挙に負けるから止めてくれ」と言っても、消費税増税キャンペーンを続けた。
振り返れば、伏線はあった。前任者は元大物大蔵官僚の藤井裕久。しかも、就任早々、国会でハーバード出の経済通・林芳正自民党議員から、「乗数効果」なんて質問をされ、しどろもどろになっていた。菅さんはもともと経済や金融に強くない。
官僚というのは意地が悪い。事前に野党からどんな質問がくるかも察知できるし、模範解答だってつくれる。しかし、コントロールしたい大臣にはわざとそれをやらないで、恥をかかせる。その後にそっと助け舟を出すことで、「財務官僚なしには生きられない政治家」になる。これが俗に言う「財務省のポチ」という状態だ。
消費税増税のキーマンは、言うまでもなく麻生副総理・財務大臣だ。
「景気が回復しない限り消費税はあげない」と言って、その判断を12月にするという。
「みぞうゆう」の一件からこの人のことを学がないと思っている人が多いが、永田町では経済通でとおっている。そんな御仁ならば、財務官僚に恩を売られることもない、はずだ。
菅さんのように籠絡されていないことを祈りたい。

財務省はたばこビジネスを推進している