「喫煙者は採用しない」という会社の「方針」 法的に問題ないのか?

法的な問題はともかくとして、企業の採用条件としては「妥当」だと思います。

たとえば「朝、早く起きられません」という人は新聞配達に雇えないし、

「夜になると、眠くなっちゃいます」という人は、夜勤のある会社では雇えない。

同様に「タバコがないと仕事になりません」という人は、人と接する仕事には雇えない。

これは当然でしょう。

ただし、タバコは「ニコアン」でカンタンにやめることができるので、

「先にニコアンしてから、再度チャレンジしてください」

と、ニコアンの存在を教えてあげるべきだと思います。



「喫煙者は採用いたしておりません」――。旅館や温泉施設などを運営する星野リゾートグループの採用サイトには「あなたはタバコを吸いますか?」という問いがある。ここで、「YES」と選ぶと冒頭のようなメッセージが表示される。(ちなみに、「NO」を選択すると、「ようこそ!!あなたは星野リゾートグループへの第一歩を踏み出しました」となる)

星野リゾートが喫煙者を採用しないのは、作業効率が低下したり、喫煙スペースを確保する必要があるほか、喫煙習慣のある社員が頻繁に休憩をとることで生じる社員間の不公平感があるからだという。

世の中には、喫煙者を採用しないという企業はほかにもある。もし、志望する会社が「喫煙者は採用しません」という方針を掲げていたらどうだろう。喫煙者はタバコをやめるか、その会社への就職をあきらめるしかない。

では、このように「喫煙者を採用しない」方針は法的に問題はないのだろうか。喫煙者差別といえないだろうか。労働問題に詳しい山田長正弁護士に聞いた。

●原則として、喫煙の有無による『採用拒否』は違法にならない

「結論としては、法的には問題はないと考えます」

山田弁護士はズバリ言う。つまり、喫煙の有無で「採用しない」としても、法的に問題はないというのだ。これには喫煙者もだまっていられないかもしれない。

では、その理由はどのようなものか?

「たしかに、採用の時点で、喫煙者が無条件で不採用とされる以上、『喫煙の自由』を侵害しているとはいえるでしょう。あるいは、喫煙者差別による『不法行為』として、慰謝料を請求されるといったリスクもゼロではありません。

しかし、最高裁判決では、企業には経済活動の自由(憲法22条及び29条)が認められていることを根拠に、広く企業に採用の自由を認めています(三菱樹脂事件・昭和48年12月12日)。ですので、原則として、喫煙の有無による『採用拒否』が違法になるとは考えられないのです」

●例外的に違法となりうる余地はあるが・・・・

判例がそうだとしても、ルールの一つであるからには、「原則」があれば「例外」もあるはずだ。喫煙の有無での採用拒否が「違法」となることはないのか?

「もちろん、採用拒否について不当な目的があったり、採用拒否の態様や程度などが社会的に許されうる限度を超える場合には、例外的に違法となりうる余地はありえます。

ですが、たとえば星野リゾートのケースでは、喫煙者を不採用にする目的を明らかにしていますが、特に不当な目的だとも思われませんし、採用拒否の態様なども社会的に許される限度を超えているとはいいがたいので、違法とまでは言えないでしょう」

山田弁護士はこう説明する。そのうえで、「厚生労働省はホームページで、公正な採用選考を行うべきであるとして、その中で禁止される事項として様々な項目をあげています。しかし、喫煙の有無の調査を行うことは、禁止事項にあがっていません」と付け加える。

あくまで、採用時の話とはいえ、喫煙者には少しつらく聞こえるかもしれない。やはり、タバコをやめるか、会社をあきらめるか、それが問題だといえるだろう・・・・。

弁護士ドットコム

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です