せっかく「和食」が無形文化遺産に登録されたのに、
店内はタバコのせいで、北京並みの大気汚染。
という記事です。
それは単に、「和食」なんてものは、しょせんタバコの味には勝てない。
それだけの話ではないでしょうか?
たばこと和食
「しのび会う恋を つつむ夜霧よ…」。俳優の故石原裕次郎さんが歌い、ヒットした「夜霧よ今夜も有難う」の一節だ。風景に薄いベールをかける霧は神秘的で、ロマンを呼び起こすためか、歌謡曲や映画などで度々、取り上げられてきた。
濃霧がいま中国各地を包んでいる。しかし、この霧はロマンどころか健康被害を呼び起こす大気汚染の塊だ。上海市では微小粒子状物質PM2・5の濃度(1立方メートル当たりのマイクログラム)が350を上回り、6段階のうち最悪の「深刻な汚染」を記録。季節風で、近隣の台湾や韓国にも運ばれている。「有難う」ではなく「ありがたくない」霧である。
産業医大の研究グループがさまざまな密閉空間を調べた結果、PM2・5の濃度は喫煙者がいるタクシー内が最も高く千を超え、喫煙できる喫茶店や居酒屋の混雑時も700前後まで上昇した。上海市の2倍の値である。
飲食店での喫煙について、神奈川県受動喫煙防止条例などを除き、日本では法規制がほとんどない。喫茶店や居酒屋だけでなく、すしやそばなどの和食の店でも自由にたばこが吸える状況だ。
「和食」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたばかりだが、店内を禁煙にしないと、せっかくの和食の繊細な味や香りが台無しになる。いや、味覚だけならまだしも「肺がんや心筋梗塞などのリスクを高める」といわれるPM2・5の汚染防止は不可欠だ。飲食店内を全面禁煙にする施策が急がれる。(K)